東日本橋から日本橋本町にかけて、ゆっくり歩けば半日で抜けられるほどのエリアに、気になるコーヒースタンドが点在している。
観光地化された日本橋の賑わいとは少し距離を置きながら、問屋街や薬種商の痕跡が残る路地を歩く。
そのあいだにスペシャルティコーヒーの一杯があったら、どんな半日になるだろう。
Overview Coffee Nihonbashi — リジェネラティブ農法の豆
日本橋本町に、静かな平日のコーヒースタンドがある。
Overview Coffee Nihonbashi は、リジェネラティブ農法で育てられた豆を扱う店だ。
リジェネラティブ農法は土壌を再生させながら栽培する手法で、コーヒーにここまで向き合っている個人店は多くない。
一杯のカップの後ろに、農地の話がある。
それを飲みながら考えられたらいいと思う。
写真で見た店内は考えごとに向いていそうな佇まいにひかれる。
休日の午前中に最初の一杯として立ち寄れたら、その日のペースが決まる気がしている。
だから、このルートの出発点をここにしたい。
BERTH COFFEE
日本橋大伝馬町。かつて江戸の物流を担った大伝馬町の通りを少し歩くと、ホステルCITANが見えてくるらしい。
その一角に構えるBERTH COFFEEは、「埠頭(バース)」という名前が示すとおり、人や物が行き交う結節点のような場所を目指しているのだろう。
国内外さまざまなロースターの豆が揃うのだそう。一つのロースターに特化するのではなく、複数の船を待つ港のように豆を揃える姿勢が面白い。
写真のカウンターが気になっている。
奥行きのある横長の造りで、旅と日常が混在するような場所に見える。
ホステルに泊まるわけではなくても、そこに座って一杯選ぶだけで、少し旅気分になれそうだ。
丸山珈琲 日本橋店 — 店舗限定ブレンドを、手土産がわりに持って帰りたい
三越前駅のすぐそば。ルートの締めくくりに、丸山珈琲の日本橋店へ寄ってみたい。
長野・軽井沢を本拠地とする丸山珈琲が、東京のど真ん中に構えたコンパクトな路面店。
この店舗だけで買える限定ブレンドがあるのだそう。
家に持ち帰って、翌朝もう一度この散歩を思い出しながら飲む。
そんな余韻のある買いものができたらいい。
日本橋エリアのコーヒー文化
東日本橋から日本橋本町、そして室町へ。
歩けば江戸の物流の記憶が残る通りを、現代のスペシャルティコーヒーの個人店がゆるく結んでいる。
観光スポットを巡るわけではないのに、ちゃんとこのエリアの輪郭が見えてくるルートだと思う。
豆の産地、農法、ロースター、ブレンド。
半日でそれだけ違う切り口のコーヒーと出会えるなら、散歩の密度としては十分だ。
いつかの休日に、静かに歩いてみたい。