阿佐ヶ谷の住宅街を歩いていると、控えめなファサードに「SINCERITA」の文字が現れる。

派手な装飾はない。それでも週末には自然と人が集まり、ショーケースの前には笑顔が並ぶ。
ここは、全国の生産者から届く旬の果物や食材を使い、その季節だけのジェラートを生み出す人気店。素材の個性を引き出すことを何より大切にしている。

一口目で伝わる「素材の温度」
今回いただいたのは、桃とミルクのダブル。
桃は驚くほどみずみずしく、果実をそのまま頬張っているような瑞々しさ。甘さだけではなく、ほのかな酸味や香りまで閉じ込められている。
一方のミルクは濃厚なのに後味が軽い。桃の風味を邪魔することなく、優しく包み込むような存在感だった。
ジェラートは冷たいスイーツというより、「旬を味わう料理」に近い。そんな印象を受ける。

店内も、街に溶け込むデザイン
店内はステンレスと木材を組み合わせたシンプルな空間。
ショーケース越しにスタッフが一つひとつ丁寧に盛り付ける姿も印象的で、地元の人から海外の旅行者まで幅広い客層が訪れていた。
華美な演出はなく、ジェラートそのものが主役。その潔さがSINCERITAらしい。
阿佐ヶ谷を歩く理由になる一軒
中央線沿線には魅力的なカフェが多いが、SINCERITAは「ジェラートを食べるために途中下車したくなる店」だ。
季節が変わればメニューも変わる。同じ店でも、訪れるたびに違う景色と味に出会える。
暑い夏の日だけではなく、春も秋も冬も。その時期だけの一杯を求めて、また足を運びたくなる場所だった。