日本橋兜町を歩いていると、少しずつ街の表情が変わっていることに気づく。
金融の街として知られてきたこの場所に、カフェやレストラン、ショップ、アートを感じられる場所が増えている。
その中で気になっていたのが、「可視化飯店」。
アジアの食文化を東京という街の中で再編集するような店だ。
今回はランチで訪れ、薬膳カレーと魯肉飯(ルーローハン)をいただいた。
兜町にある、少し不思議なアジアの食堂
可視化飯店があるのは、日本橋兜町の「CASICA KABUTOCHO」。

店内に入ると、料理店というより、どこかアジアの街にある食堂のような空気がある。
器や家具、照明などにも独特の存在感があり、食事をする前から店の世界観に引き込まれる。
「アジア料理」という言葉だけでは少し説明しきれない。
台湾、中国、タイなど、さまざまな文化のエッセンスが混ざり合いながら、東京という場所に落とし込まれている。
まずは、薬膳カレー
今回いただいたのが、こちらの薬膳カレー。
白い大きな皿に、ご飯とカレー。
その上には、かぼちゃやヤングコーン、きのこなど、色とりどりの野菜が盛り付けられている。

カレーというと、ルーとご飯を豪快に混ぜて食べる料理を想像する。
でも、この一皿は少し違う。
野菜ひとつひとつの存在感が大きく、カレーの中にさまざまな食感がある。
かぼちゃの甘さ。
きのこの旨味。
野菜の香ばしさ。
そこにスパイスの香りが重なる。
スパイスはしっかり感じるけれど、決して重たくない。
野菜と一緒に食べることで、味が少しずつ変化していく。
「カレーを食べている」というより、野菜とスパイスを一緒に楽しむ一皿。
そんな印象だった。
そして、もう一つ。魯肉飯
もう一品いただいたのが、台湾料理の定番でもある魯肉飯(ルーローハン)。

甘辛いタレで煮込まれた豚肉をご飯にのせる、台湾ではおなじみの料理。
カレーとはまったく違う方向の味なのに、どちらにもアジアらしい香りがある。
じっくり煮込まれた肉の旨味と、タレの甘辛さ。
ご飯と一緒に食べると、どこか懐かしい。
こういう料理は、難しいことを考えずに食べられるのがいい。
ひと口食べて、ご飯を食べる。
また肉を食べる。
気がつくと、どんどん箸が進んでいる。
カレーと魯肉飯、全然違うのに面白い
今回、薬膳カレーと魯肉飯を続けて食べてみて面白かったのが、その違い。
カレーはスパイスと野菜。
魯肉飯は肉の旨味と甘辛いタレ。
一皿はスパイスを楽しみ、もう一皿はご飯と肉の組み合わせを楽しむ。
方向性はまったく違う。
でも、どちらにもアジアの食文化を感じる。
可視化飯店という場所だからこそ、こうした料理を同じ空間で楽しめるのが面白い。
写真に残したくなる料理
今回のカレーも魯肉飯も、料理そのものに存在感がある。
特にカレーは、白い器の上に野菜が立体的に盛られていて、写真を撮りたくなる。
ただ、可視化飯店の場合は料理だけを切り取るより、店内の空間と一緒に見る方が面白い。
料理。
器。
家具。
照明。
そして、そこにいる人たち。
それらが全部合わさって、店の雰囲気をつくっている。

「アジア料理店」というより、アジアを感じる場所
可視化飯店の魅力は、台湾料理だけを食べる場所ではないところにある。
料理を食べていると、器やインテリアにも目がいく。
店内を見渡すと、アジア各地の文化を感じるものが置かれている。
食事をしながら、その背景にある文化までなんとなく感じられる。
だから、料理を食べ終わってもすぐに店を出るのではなく、少し店内を見ていたくなる。
兜町を歩く理由が、またひとつ増えた
日本橋兜町には、昔ながらの建物や金融街としての雰囲気が残っている。
一方で、新しい店やカルチャーも生まれている。
その変化を感じながら街を歩いて、可視化飯店でランチをする。
薬膳カレーを食べる。
魯肉飯を食べる。
そして、少しだけ店内を眺める。
それだけでも、いつもの東京とは違う時間になる。
東京で、アジアを食べる。
海外旅行に行かなくても、東京にはさまざまな文化が混ざっている。
可視化飯店は、そのことを料理を通して感じさせてくれる。
薬膳カレーのスパイス。
魯肉飯の甘辛いタレ。
器や家具。
そして、日本橋兜町という街。
どれかひとつだけではなく、全部が混ざっているから面白い。
東京の中に、アジアを見つける。
そんな気分で訪れてみると、この店の面白さがもっと分かる気がする。
今回は薬膳カレーと魯肉飯。
次に来たときは、また別の料理を試してみたい。
そんな余韻が残るランチだった。