渋谷駅から歩いて、少しだけ喧騒から離れる。
並木橋の交差点を越えて、代官山方面へ向かう坂道。
その途中に、どこか懐かしい雰囲気をまとった小さな店がある。
BUY ME STAND(バイ ミー スタンド)。

サンドイッチの店なのだけれど、いわゆる「おしゃれなサンドイッチ屋」と呼んでしまうと、少し違う気がする。
古いソファ。
むき出しの配管。
少し暗めの照明。
壁に飾られた写真。
そして、どこか懐かしい家具。
店に入った瞬間、渋谷にいることを少し忘れる。
そんな場所だ。
サンドイッチを食べるために、渋谷を歩く
BUY ME STANDがあるのは、渋谷区東1丁目。
渋谷駅から少し歩いた、並木橋の近くにある。
駅前の人の多さから離れて、街の表情が少しずつ変わっていく。
この「駅から少し歩く」という距離感もいい。
目的地へ急ぐというより、
「今日はあそこでサンドイッチを食べよう」
くらいの気持ちで歩いていく。
そんな使い方が似合う。

古いアメリカの気配が残る店内
店内に入ると、まず感じるのは独特の空気感。
ヴィンテージの家具やレトロなインテリア。
少し無骨な照明や、年季の入った床。
ソファの柄やテーブル、壁に飾られた写真まで、それぞれが違う雰囲気を持っているのに、不思議とまとまっている。

いわゆる「きれいに整えられたカフェ」とは少し違う。
もっとラフで、もっと生活に近い。
昔のアメリカのダイナーを、東京の小さなビルの一室に持ってきたような感じ。
ファッションやカルチャーが好きな人なら、食事だけでなく、この空間そのものも楽しめるはずだ。
主役は、少し変わったグリルドサンド
そして、もちろん食べる。
BUY ME STANDのサンドイッチは、ただ具材を挟んだだけのものではない。
パンを香ばしく焼いて、肉やチーズ、野菜などを大胆に組み合わせる。
メニューには「APPLE CHEEKS」「MUSHROOM EYE」「BLUE MONDAY」など、名前からして少しクセのあるサンドイッチが並ぶ。
今回いただいた一皿も、その雰囲気そのもの。
黒く焼かれたパン。
その間から見える肉とチーズ。
そしてオレンジ。
一見すると、ちょっと不思議な組み合わせだ。

でも、食べてみると、この自由さがいい。
甘さ、塩気、肉の旨み、チーズのコク。
それぞれが単独で主張するのではなく、パンの香ばしさが全部をまとめてくれる。
サンドイッチなのに、ちょっと料理を食べているような感覚がある。
「その組み合わせ、思いつかなかったな」
という驚きが、この店の面白さなのかもしれない。
アイスコーヒーを飲みながら、何もしない
サンドイッチを食べ終わって、アイスコーヒーを飲む。
それだけ。

でも、こういう時間が意外と少ない。
スマートフォンを見ながら急いで食べるランチではなく、
少し古いソファに座って、
店内を眺めながら、
コーヒーを飲む。
外では渋谷の街が動いている。
けれど、店の中だけ時間が少しゆっくりしている。
誰かがサンドイッチを食べていて、
誰かがコーヒーを飲んでいて、
誰かはただ座っている。
それでいい。
渋谷で「目的地にしたい店」
カフェは、何かをするための場所だと思いがちだ。
仕事をする。
本を読む。
友達と話す。
でもBUY ME STANDは、もう少し単純。
「ここに行って、サンドイッチを食べる。」
それだけでも十分に目的になる。
渋谷駅から少し歩く。
坂を上る。
そして、少し懐かしい空気の店内へ。
熱々のサンドイッチとコーヒーを楽しむ。
東京には、わざわざ行きたくなる店がある。
BUY ME STANDは、まさにそんな一軒だ。
渋谷でランチに迷ったとき。
いつものカフェとは少し違う場所へ行きたいとき。
あるいは、何となく街を歩きたい休日に。
サンドイッチを目的に、並木橋まで歩いてみる。
たぶん、そのくらいがちょうどいい。