渋谷駅から歩いて10分ほど。
スクランブル交差点の喧騒を抜け、並木橋を越えると、街の空気は少しずつ落ち着いてくる。
その途中にある雑居ビルの3階。
「WORLD FOOD CRAFT BEER and GIN」
壁に貼られた控えめな案内だけが、この場所の入口だ。
初めてなら少し不安になるくらい、目立たない。
でも、このくらいの距離感がちょうどいい。

「今日はどこの国へ行こうか」
TOKYO FAMILY RESTAURANTのコンセプトは、とてもシンプルだ。
食で世界を旅する。
40か国以上の料理をベースに、その日のランチが用意される。クラフトジンは1,200種類以上を取り扱い、夜はまた違う表情を見せる。
メニューを開くたびに、「今日は何が食べられるんだろう」という小さな旅が始まる。
世界各国の料理というと構えてしまいそうだけれど、ここには難しさがない。
知らない料理を気軽に食べる。
それくらいの温度感が心地いい。
ファミレスという名前の、大人の食堂
店内はオープンキッチン。
料理人が淡々と皿を仕上げる様子を眺めながら、ランチを待つ時間も悪くない。
コンクリート打ちっぱなしの空間に、木のテーブル。
天井にはドライフラワー。
どこか海外のローカルレストランを思わせる雰囲気だけれど、気取った感じはまったくない。
そこには長い時間をかけて自然にできあがった空気が流れている。

今日のランチはカレー
この日選んだのはカレー。
大きく盛られたライスに、じっくり煮込まれたルー。
スパイスが前面に出るタイプではなく、素材の旨味がゆっくり広がる味だった。

セットにはサラダとスープ。
豆を使ったデリが添えられ、最後まで飽きずに食べられる。

派手さはない。
でも、「また食べたい」と思わせる一皿だった。
渋谷で、少し遠回りしたくなる店
渋谷には話題の店が次々とできる。
だけど、何年も通いたくなる店は案外少ない。
TOKYO FAMILY RESTAURANTは、その数少ない一軒だと思う。
ランチを食べて、REC COFFEEでコーヒーを飲む。
氷川神社まで歩いて、並木橋をゆっくり散歩する。
そんな半日が、この街にはよく似合う。
渋谷は、歩くと面白い街だった。