東京で台湾料理を食べる。
それだけなら、今では珍しいことではない。
けれど、店の扉を開けた瞬間に、少しだけ街の空気が変わる。
赤、黄色、青。
頭上には台湾らしい提灯が並び、白いタイルの壁には中国語の文字が並んでいる。
ここは、ダパイダン105。
小籠包をはじめとする台湾料理を、もっと気軽に楽しめる店だ。
高級なレストランというより、目指しているのは台湾の街角にある食堂や夜市のような場所。
その雑多さが、なんだかいい。
料理より先に、空間に惹かれる
店に入って最初に目に入るのは、料理ではない。
天井から吊るされたカラフルな提灯。
むき出しになった配管。
白いタイル。
カウンターに並ぶ調味料。
そして、大きく掲げられた中国語のメニュー。
日本にいるのに、どこか違う。

観光地として作られた台湾ではなく、
「台湾の街を歩いていて、たまたま見つけた店」
そんな雰囲気がある。
最近の飲食店は、どこを切り取ってもきれいだ。
けれど、ダパイダン105には少しだけ余白がある。
完璧に整えすぎていない。
その感じが、むしろ台湾らしい。
名物は、焼小籠包
ダパイダン105で食べたいものといえば、やっぱり焼小籠包。
小籠包と聞くと、蒸籠に入ったものを想像する。
でも、ここで主役になるのは「焼」。
底面を香ばしく焼き上げた皮。
その中には、肉餡とたっぷりのスープ。
外側はカリッ。
上はもっちり。
そして、ひと口目には熱々の肉汁。
この料理は、少し食べ方にコツがいる。
いきなりかぶりつくのではなく、まず箸で皮に穴を開ける。
そこから立ち上がる湯気を見ながら、スープを少しずつ味わう。
食べるというより、ちょっとした儀式だ。
台湾料理は、テーブルを賑やかにする
メニューを眺めていると、焼小籠包だけで終わらせるのが惜しくなってくる。
魯肉飯。
担仔麺。
炸鶏排飯。
麻婆豆腐。
焼売。
そして、台湾らしい屋台料理。
一人でひとつの料理をじっくり食べるというより、
いくつか頼んで、テーブルいっぱいに並べる。
そのほうが、この店には似合っている。
ビールを開けて、焼小籠包をつまむ。
辛い料理を食べて、またビールを飲む。
気づけば、予定していたより長居している。
台湾料理の楽しさは、こういうところにもあるのかもしれない。
昼でも、夜市の気分
ダパイダン105の面白いところは、夜だけの店ではないこと。
ランチなら、魯肉飯や麺と焼小籠包を組み合わせる。
仕事の途中に立ち寄ってもいい。
休日にふらっと入ってもいい。
そして夜になれば、今度は台湾の居酒屋のように使える。
「今日は台湾料理を食べよう」
と決めて訪れるのもいいけれど、
「なんとなく入ってみた」
くらいでもいい。
そのくらい気軽な距離感が、この店の魅力だと思う。
東京の中に、異国をつくる
海外旅行に行くのは、少し大げさだ。
飛行機に乗る必要もない。
予定を何日も空ける必要もない。
仕事帰りに、友達と。
休日のランチに、一人で。
ほんの数時間だけ、いつもの東京から離れてみる。
店内に吊るされた提灯を眺めながら料理を待っていると、
台湾に行ったことがある人なら、少し懐かしく感じるかもしれない。
まだ行ったことがない人なら、
「台湾って、こんな感じなのかな」
と想像してみるのもいい。
旅は、必ずしも遠くまで行くことではない。
いつもの街の中に、少しだけ違う空気を見つけること。
ダパイダン105は、そんな小さな旅をさせてくれる店だ。
次の休日は、台湾料理から始めよう
カラフルな提灯。
白いタイル。
中国語のメニュー。
そして、湯気を立てる焼小籠包。
東京にいながら、ほんの少しだけ台湾へ。
そんな気分になったら、ダパイダン105へ行ってみる。
料理を食べ終えて店を出れば、そこはいつもの東京。
でも、その前の数時間だけは、
少しだけ旅をしていた。
そんな感覚が残る。
遠くへ行かなくても、旅はできる。
MOZi的には、そんな店として覚えておきたい。