ダービーは、順位ではない。
カテゴリーでもない。
そこにあるのは、街のプライドだけだ。
9年ぶりに帰ってきた「さいたまダービー」。
埼玉スタジアムに23,683人が集まり、浦和レッズとRB大宮アルディージャは2-2で引き分けた。結果だけを見ればドロー。
しかし、この90分はそれ以上の価値があった。
開始15分で3ゴール。ダービーらしい幕開け
キックオフから空気は異様だった。
11分、大宮のカルリーニョス・ジュニオールに先制を許す。
しかし、そのわずか3分後。渡邊凌磨が冷静にネットを揺らし、浦和がすぐさま追いつく。
「これが浦和だ。」
そう思った矢先、再び大宮の泉柊椰に決められ、開始15分でスコアは1-2。
プレシーズンマッチとは思えない展開に、埼玉スタジアムのボルテージは一気に上がった。
苦しい時間。それでも浦和は折れなかった
新監督・曺貴裁のもと、新しい4-3-3に挑戦する浦和。
ビルドアップも前線からのプレスも、まだ完成形ではない。
それでも後半はボールを握り、大宮陣内でプレーする時間が増えていく。
85分。
PKを獲得。
オナイウ阿道のキックは一度GKに止められる。
それでも誰よりも早く反応し、自ら頭で押し込んだ。
技術ではなく、執念だった。
浦和らしいゴールだった。
勝ちきれなかった。でも、負けなかった
もちろん、勝ちたかった。
相手はJ2クラブであり、ホームは埼玉スタジアム。
だからこそ2-2という結果に満足するサポーターはいないだろう。
SNSでも「内容には手応えを感じた」「守備の課題は残る」「曺サッカーの片鱗は見えた」といった声が多く見られ、期待と課題が入り混じる評価となった。
しかし、9年ぶりのダービーで最後まで走り続け、諦めずに追いついた姿勢は、新しい浦和の土台を感じさせるものでもあった。
ダービーは、街をひとつにする
浦和と大宮。
同じさいたま市にありながら、文化も歴史もサポーター気質も違う。
だからこそ、この一戦には独特の熱が生まれる。
試合前からスタジアム周辺は赤で埋まり、チャントが響き、普段リーグ戦を見ない人まで足を運ぶ。
「さいたまダービーが帰ってきた。」
その事実だけで、日本サッカーは少し豊かになったように感じる。